進化しすぎた脳
結構前に一度読んだ本をまたパラパラと繰っていたら面白い箇所を見つけた
- 作者: 池谷裕二,長崎訓子
- 出版社/メーカー: 朝日出版社
- 発売日: 2004/10/23
- メディア: 単行本
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引用(344ページより)
人類は何をやっているかというと、自分自身の体ではなくて「環境」を進化させているんだ。従来は、環境が変化したら、環境に合わせて動物自体が変わってきた。でも、いまの人間は遺伝子的な進化を止めて、逆に環境を支配して、それを自分に合わせて変えている。メガネや車椅子をつくるなどというのはわかりやすい例だよね。でも、それだけじゃない。健康な人でも明らかに環境を支配しているよね。都市やインターネットをつくるなんて、まさに環境を変えることでしょ。そういうことができればもう自分の体は進化しなくてもいい。そんなことを人間はやりはじめている。新しい進化の方法だ。
これは脳の本であって、脳にとっては身体もまたひとつの環境であることを考え合わせても面白い。ここでいう「身体」とは引用箇所にある「体」とりわけ遺伝子的にコントロール可能な「体」とは別だと思っている。単純に言えば整形とか、あとは埋め込みとか。つまり「いまある自分の身体性」をとりあえずそういうものだととらえる視点から環境が構築されているということ、ここに結構重要なポイントがあるような気がするのである。