いろのはなし

昔の日本には色がなかったかもしれない、とかそういう系の話を東京に行ったとき友人から聞いた。
つまりどういうことかというと、むかしの日本には色相がなかったということらしい。「色がなかった」という言い方は正しくないかもしれないのでちょっと変えると、むかしの人は彩度と明度でしか色を認識してなかったのかもしれないということ。むかしっていつよ、と問いたかったのだけど、それはとりあえず「むかし」くらいの感じで聞いていた。
というのも、「むかし」は色を赤・白・青・黒くらいでしか認識していなかったようなのだ。今となっては個別に色を示すこれらの四語も、その語の成り立ちを見ていくと、じつは「あかるい」「はっきりしている」「あわい」「くらい」という「状態」を表す言葉としてあったのだそうだ。それが「赤」「白」「青」「黒」となった。「はっきり」から「白」が分かりづらいのだけど、これは「顕し(しるし)」から「白」になったとのこと。

デザイナーズ カラー チャート

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今となってはすごい量のある色を全て四つのハコで仕分けしていたことがまず驚きなのだけど、考えてみれば「喜怒哀楽」みたいな感情とかも結構無理して仕分けしてるんじゃなかろうか。案外「キモかわ」とかはじめに名指した人なんかは、「ミドリ」(たとえば)を初めに名指した人とおんなじことをしているのかもしれないと思うとちょっとワクワクします。形容詞に行っちゃうと話はまた別かもしれないけど。