穴、それも深い穴

七月二十日、
大阪にゴージャスなカプセルホテルがある(かもしれない)という話を聞く。なんとしてでもさがしださねばならない。あるなら。

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同日、午後よりモダニズム都市京都展へ。一枚どうしても頭から離れない絵があった。田村宗立による「琵琶湖疎水工事図巻」の「シャフト工場」という絵がそれだ。二メートル半もの高さに比して幅が15センチ程度しかないという一枚(正確には同名でもう一枚あるので二枚)だった。1886年、新聞の挿絵のために描かれた絵。そのプロポーションからも分かるように、とても深い穴が描かれている。上からはなかに何かが詰められたつるべのようなものが下ろされ、そのつるべ自体にも作業員が二人乗っている。下の方で荷受人が鉤のようなものをもって彼らの到着を待っている。さらに下にいる人は暇そうに腰掛けている。そしてもっと下では何か別の作業が行われている。ひとところで、皆がそれぞれひとつのつるべを待っている。地上ではこのつるべを巻揚げるために少なくない数の人がはたらいているが、それは描かれない。とても静かな絵。穴だからだ。穴は静か。もう一枚の「シャフト工場」では人の数が半分くらいに減り、つるべに人の影はない。ただそれはゆっくりと降りてくる。あるいはあがっていく。この縦に長い絵に時間性のようなものがあるのならば、それはこのつるべがそれをなしている。

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京都第一の貧困地にして此上尚益々貧民の増加する勢あるに依り、帝国博物館を此地に設置すれば、幾分か同地貧困の惨状を医するの資料ともなり

そして「京都帝国博物館」は「此地」に設置されるはこびとなった。幾分か同地貧困の惨状を医するの資料ともなり。ともなり、ってなんだ。大阪朝日新聞明治22年、6月7日。

存在する間彼は永久に京都の風致破壊の責に任ぜねばならない

上野伊三郎が祇園閣を建てさせた大倉喜八郎へ当てた痛烈な批判文。彼というのは、つまり大倉氏のことだ。

本野精吾によるとある舞台の舞台装飾と衣装のデッサンもあり。「YADONO HITOYO kami Dunsany」とある。

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市比賣神社。総本宮

マンションの一階。名水あり。