コミックバスター・ポコ・アージオ四条烏丸店

七月三十一日、
所用で行ったSuperWindowProjectでマティユー・メルシエの話をバロンと。メルシエはコンテクストの想定がユニークであり、もっと言えばコンテクストの突合せ方が特徴的だ。真っ白に染めたリートフェルトのあの椅子と、ホームセンターで売っていそうなプラスティックの白い椅子とを並べるとき、その視覚的並列の裏にもやもやとした何かが浮かんでくる。それはたとえば工業化というキーワードに集約されるかもしれない。かたや夢の端緒を告げるもの。もういっぽうは成れの果て。ウィットと言うにはやや偽悪的に響くメルシエの仕事には、郊外的な一軒家にガススタンドのような架構を重ねるというプロジェクトがある。このまさに屋上屋をかける不気味な二重性の中には、たとえば夢というキーワードが浮かんでくるかもしれない。かたや郊外居住者のそれ。もういっぽうはモダニストのそれ。「ユニバーサル」な架構の下にいる「様式」建築。お互いがお互いに殺しても殺しても死なない、と言っているようだ。夢の中からする腐臭。実はこれまだ模型しかないんだ。実物で見たいよね。というか実現させたいよね、とバロン。賛成。

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1】この本の中には、眠っていた街を起こして回る飛行船の話が出てきます。建築なんて家を建てるくらいのことだろうと思っている人にお勧めの一冊、くらいのつまらない紹介しか浮かんでこない。アーキグラム編『アーキグラム』。再考。

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七月三十一日、
コミックバスター・ポコ・アージオ四条烏丸店へ。5階建てビルの4階。言い方はちょっと横柄だけど、空間的としてよくまとまっているなという印象。決して広くはないし、本の量も多いとは言いがたい。コミックバスターのもう一店舗(堀川丸太町店)に比べれば空間的な特徴には乏しい(あそこには全面ガラスの開口部とテラス席がある)。それでもこの四条烏丸店はこの場所に見合ったスケールでかちっと構成されているように思う。破綻がない。うわついたところがない。ついでに店員の覇気もない。ネットカフェにお手本があるとしたら、そのお手本どおりの店舗。リクライニング席3時間約1000円。なお同ビル1階から3階は証券会社、5階にはガールズバー。証券会社とガールズバーにはさまれるコミックバスター・ポコ・アージオ。地下1階はももじろう。絶妙に予測不可能なテナントアクションを見せてくれる。「Poco Agio」とはイタリア語で「ちょっとした小さなゆとり」を意味します、とのこと。銭ゲバ文庫版を読む。京都のネットカフェで文庫版銭ゲバはここが初対面。

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八月二日、
名古屋、長者町通りを通る。繊維問屋街です、と看板が強く主張している街。

夜は地元で友人の結婚式、の二次会と三次会。黄金バッド、鉄人28号、という名前のカクテルを飲まない。

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八月三日、
京都へ。彦根駅近く、米原方面とは逆方向に古い学校建築を確認。車窓より。夜QCテーマ関連テキスト手直し。さらに夜製図課題。