ドットコミック

八月九日、
朝ちょっと遅れて大阪へ。製図講習を4時前に早退して伊丹。駅で雨に困惑するHさんとともにアイホールへ。一ヶ月同じ屋根の下で生活をしたタイのみんなのパフォーマンス本番を見に来たのだった。舞台らしい舞台はずっと昔に見た劇団飛行船のミュージカル以来。みんな生活してるときや顔をあわせているときよりずっと気持ち悪くて素敵だった。途中、特注の大ブルーシートが下に風を送られふわふわ揺れる。その大きさは舞台すべてをつなぎ目無しで覆い隠して余りあるほどであり、まさにそのある余りが波と化す。まるで、とかあたかも、という言葉もなくそれは海であり、その上を渡るディアボーンにうっとりしてしまった。断片だけを取り出して云々してもはじまらないが、その景色がとても強く頭に残っている。終了後は初楽屋挨拶。おつかれさま。波のあれすごい綺麗だった。でもやってるほうはたまんないよ、暑いしさ。と、あおぐ振りをみせてくれる。来年の頭、雪が見たいとのことで、ひとり日本に来るかもしれない。すごくさむいよとおどす。

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業界最高級リクライニングチェア、という売り文句。メディアカフェポパイ三条店にて。

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八月十日、
昼、イボ。その後秋プロジェクト用文章の打ち合わせ。夜ネットカフェドットコミックさんへ。ひとことで言うとこのネットカフェ、おしゃれである。ユーズドの革張りチェアや、悪くないテキスタイルが張られた一人掛け用のソファ、かわいいソファやキリッとしたソファなんかが置いてあり、席は固定されないので混んでなければ変更は自由。ソファ席にはテレビも置いてあり、一部だがテレビの隣に本が置いてあったりする。要するにその席に来てはじめて読める本がある、ということだ。具体的には建築系の専門書や写真集が並んでいた。このシステムは貫徹すると面白いかも。偶然の席選択がまた別の偶然を呼ぶ、ということになるからだ。別の意味で出会い系ネットカフェ。なお料金体系ははじめの30分が200円、延長10分ごとに60円。これ一本。パック料金がないのは営業時間が10時から24時までだからだろうか。フリーのドリンクバーはなく、150円を払うとドリンクが飲み放題になる。このネットカフェ、既存ビルのワンフロアを改修しており、仕上げはすべて打ち放しコンクリートに白い塗装をしているのみ。個室感を出すために柱型やその影の空間をうまく利用していたり、カーテン等垂らす系のものを多く使用している点はおもしろい。個室個室したネットカフェに抵抗があり、かといってハードコアな漫画喫茶は遠慮したい、という方々におすすめの一店舗。へうげものを読む。

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彼は思った。ものごとにはそれ自体の秩序があって、偶然に起こることなど、なにもない。では、偶然とは、いったいなにか。ほかでもない、それは、存在するものたちを、目に見えないところで繋げている真の関係を、われわれが、見つけ得ないでいることなのだ。

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2】スケーターから見た都市、スケーターによる都市の使い方がクールな写真満載で記録されている一冊。建築の教科書では傑作と称されるあの建物が、ここではおすすめスポットと化す。普段見慣れた街の、新しい視点をどうぞ、という評を考えてみたがどうもしっくりこないイアン・ボーデン『スケートボーディング』。

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八月十一日、
朝から秋プロジェクト用の映像撮影。途中あわたにさんの作品搬出打ち合わせを美術品専門の運送屋さんとする。すごく大きな作品なので業者さんは常に苦虫を奥歯で噛み潰したような顔をしてしゃべっている。その後あわたにさんへの聞き取り。方程式、というキーワード。これ以降を見込んでなす表現が現在、だけでなくはじまり、にも受け入れられることを目指している、とのこと。自然、かたち、距離感、方程式。お互いこんがらがってきたのでつづく。キーワードはスポットライトのようで、照らされたその場所に彼女の伝えたいことが必ずしもあるわけではなく、あっても輪郭の一部だったりするのかもしれないので、もすこし手がかりをあげてもらいたい。

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深夜MKK会議。ウェブサイト構築上の諸問題を話し合ってつぶしていった。コミックバスター四条烏丸店のカップルシートは前に通路を作り意図的に入り口をドンつきにしてある、という情報を Yさんより。うまい。これならのぞかれる心配はなくなる。というかそもそも一度行った段階で気づけよ自分、と自戒の念。