トップスカフェ&スポーツランド北白川キタバチ

八月二十一日、
ネットカフェ。京都駅八条口を出たところにあるトップスカフェ。Topscafe。アバンティの対面。なか卯の二階。外国からの旅行者用にところどころ英語表記ありで、バックパッカーがリュックを背負ったままドリンクバーに並んでいたり、大きな荷物を持った人たちがカウンターに並んでいたりする。長距離バスの停留所から程近いこともあって人気。常に席が埋まる。回転も速い。とりたてて言うほどのことでもないが、カウンター背後には三つの時計がある。ひとつは現在時刻、ひとつは3時間後の時刻、もうひとつが6時間後の時刻。それぞれ3時間パック、6時間パックの退出時間を教えてくれるわけだ。慣れていない人にはとても親切な配慮。料金は15分120円。3時間パック1000円、6時間で1800円、12時間で3000円、ナイトパックが7時間で1500円。ちなみにリクライニング席、フラット席は料金割増。そもそもの前提として会員制なので最初に200円かかることも忘れてはならない。
各個室は幅880×奥行き1580×高さ1500のモジュールで構成されている。すべて同一スケールで、各3室あるフラット席・ペアシート席はその二倍。二倍というのは横に二つつなげて二倍。なので、幅が880×2で1760。自動的に方向性が変わる。あーあー、もとい、フラット席は「約」二倍。ちょっとイレギュラーになっていたのだった。なお、個室間には600×850の窓が設けられていてそれを開けると相席間が高まるという仕組みになっているのだが、これを一列すべてでやってみたらどうだろうか。この風景はおそらく他のいかなる空間でも体験できないものになるはずだ。賛同者求む。上京アフロ田中を読む。

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八月二十二日、
朝粟谷作品搬出。結局作品解体梱包物小成。業者手際良短時間於終了。

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八月二十二日、
アート大阪。ホテルの一室がこの期間だけギャラリーになる。Super Window Projectも出張するとのことでバロンからチケットをもらっていたのだった。先に一室、と言った。しかしながら堂島ホテルの8階から11階にある各室がほぼすべてギャラリーになっているので全部見て回るのは割と骨。しかも室によってはとにかく作品を並べておけばよい、と思っている節があるため余計と骨。いや、そもそもそういうものだと言われれば返す言葉がないが。その点空間構成が一番よかったのは贔屓目でもなんでもなくSWPだと思った。
ホテルの一室をギャラリーにする際最も問われるところは風呂とベッドの使い方だろう。ベッドに固形物を置いていたほぼすべてのギャラリーの試みは、ほぼすべて失敗しているように見えた。一方SWPはどうしたかというと、ベッドにはテキスタイルを敷いていた。無難。でもこれが多分一番綺麗。固形物が一番似合わないところがベッドなのだろう。じゃあ固形物・人間はどうだろう。判断が難しい。固形物・作品はベッドサイドのテーブル。そして風呂場。風呂場のシャワーカーテンだろう、これがおそらく水カビの匂いを発するので匂い消しが重要になってくる。SWPはそこに匂いの強いバッグを解体した作品を置いていた。作品のケミカルな匂いはやや癖があるが、嗅いだ瞬間に生活感を醸し出し始めるあの水カビの匂いよりはずいぶんとまし。よりエレガントだなと思ったのは、その作品の配置によって浴槽をつぶしていたこと。浴槽は展示のための面白い舞台ともなるけど、だからこそ使わないという選択に余裕のようなものが見えてくる。いい意味でのってない。エレガントといえば、SWPが室の手前と奥の間を椅子とテーブルで意識的に区切ってるところもよかった。他のギャラリーはほぼ一室空間で、あってもサニタリースペースと室という区切りがあるのみ。テーブルの上には香りを漂わすキャンドルが置かれ、鼻腔にも優しい。このワンクッションは作品展示には邪魔とも取れるが、物理的にも意味的にもゆとりのようなものが見て取れる。エレガントというのはあえて取らないの美学だと思った。なお、個別作品ではギャラリーほそかわさんの国谷隆志さんに軍配をあげたい。ネオン管を使っていない、二次元のものがとりわけ良かったんだけど、6万は持ってないし、そもそも売れていた。

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八月二十四日、
水泳。ジムで水泳。知人からチケットをもらったため。400メートルくらい平泳ぎもどき。夜は久しぶりにhanare。スイカと花火をした。ここでIさんとその友人Sちゃんに会う。Sちゃんは三角をとにかく描き続けているという作家さん。ルールはシンプル、でもパターンの増幅次第で結果は変わる。ほぼ自動書記みたいなものともいえるので、どこで止めるんですか、とよく聞かれるそう。そんなのどうでもいい、と言わないSちゃんはとても親切。誠実な人。その後I邸にてユニフォームの調整。肩から胸のライン、ポケット位置、丈、ボタン位置などなど。

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八月二十六日、
ネットカフェ。北白川通りにあるスポーツランド北白川キタバチ。最初の三十分170円、次の30分が160円、その次の30分が150円、以降20分毎に90円と無駄にきざみのある料金設定。一方パック料金は単純明快で二通り。5時間いるか、一日中いるかだ。前者880円、後者1200円。ちなみにこの店舗は11時から朝の5時までやっているので「一日中いる」を選択すると権利的には18時間いれることになる。18時間。1200円。話にならんほど安い。換算すると一時間約67円。いままで地球上でもっとも安いとされていた東京蒲田のネットカフェいちごでさえ一時間100円であることを考えても、この安さは驚愕に値するだろう。しかも驚愕はこれにとどまらない。地下一階にある「コミックラウンジ」へと足を踏み入れ、その割と雑然とした空間をふらふらしていると、こともあろうにベッドがある。ベッドだ。それはいかなる誤植も言い間違いもなくベッドであり、角度によってはベッドに見えるなにかという見間違いもなくベッドであり、あたかもベッドのようだという比喩もなく、二段ベッドが二台おもむろに置かれている。あまつさえ布団まである。それから個室。5室しかなく、ビデオが観えるだけだが、ここの個室は2メートル角はありフラットシート仕様になっている。ここで寝るという選択も大いにあるだろう。
このネットカフェは愚直なまでに直球だ。他の店舗が言い含みや二の足を踏みそうなところを、どストレートにずかずかいっている。写真集で叶美香スウィート・ゴッデスを選ぶくらいストレートだ。ずかずかいきすぎてちょっとアレなところもある(書けない)が、そのナッシングトゥルーズ感覚はもっと賞賛されていい。失うものは多分ない。あるけど。そのくせ監視カメラがいやに多いというのはご愛嬌としても、この気概をこそ感じてほしい。マンガを読むのはそれをひとしきり感じたあとにしてほしい。ただしちょっと雑然としすぎて雰囲気が余りよくないというのは事実なので、ちょっと怖いなと思う人は行くこと自体をやめたほうがよろしい。ビリーバーズを読みそうで読まなかった。ネカフェで積読

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