日の隙間

八月二十三日、

  1. バーナード・ルドフスキー『建築家なしの建築』:ノー・カタログ、イエス・挑戦状・フロム・誰か
  2. 坂口恭平『TOKYO 0円ハウス 0円生活』:ノー・ホームレス、ジャスト・ア・ウェイ・オブ・ハウジング
  3. 石山修武『「秋葉原」感覚で住宅を考える』:イエス・マーケット・ウィズ・自由競争
  4. 川合健二ほか『川合健二マニュアル』:ドント・スタンド、レイ
  5. 古庄弘枝『沢田マンション物語』:ドント・アスク、ビルド
  • -

八月二十三日、

人はそれぞれ自分だけの眠りの召使を雇っている。それは昼間、どこか遠くの森に潜んでいるが、夜になると森を抜け出し主人を訪ねる。そうして鼓膜の奥の骨をノックする。その合図を聞きながら人は眠りに落ちる。召使は忠実に任務を果たす。雪の日も嵐の日も、休むことなく訪問を繰り返す。しかし、いつしか彼は弱ってゆく。針葉樹に囲まれた小屋の中でぐったりしていることが多くなる。それでも訪問だけは忘れない。這ってでも出かけてゆく。ある午後、召使は誰にもみとられず、ひっとりと息を引き取る。もう眠りは訪れない。それが死だ。

小川洋子詩人の卵巣。猿の仕事二号より。

      • -

八月二十五日、
リサーチスクエア。今回はオーシャンデザインを集中的に攻める。サステナブルデザインリサーチ、デザインプロセスへのコンピュータの介入をどのように考えるのかリサーチ、エコロジーをシステム理論と共に説いていく教育プログラム、煉瓦の積み方リサーチ、自己生成したかたちの数学的モデル研究に関連する技術とプロセスリサーチなどなどなど。幅広い。

      • -

八月二十五日、

現在では全米にゲーテッド・コミュニティは存在し、その数は20,000とも言われている。立地条件としては、企業の社屋と高速道路に近い場所が好まれる。これまでの都心と郊外という枠組みのなかではなく、それは砂漠のど真ん中あろうとも存在する。アメリカの場合、もはや都心の求心力を利用して企業の社屋が建設されることは希である。その傾向は特にコンピューター関連企業に顕著である。それらの企業の従業員、あるいはCEOがゲーテッド・コミュニティの主な居住者である。特にそこにはWASPが8割から9割居住する。

  • -

かつては貧困者や黒人を隔離してきたWASPは今度は企業という強力なスポンサーのもと、自らの生活の地を郊外の果てに要塞化しようとしている。現代アメリカ社会のなかでは言語や人種、民族の混沌のなかで唯一、他者との差異を認める指標が経済力になっている。かといって人種的な差別が根絶されたというわけではなく、これらの問題の諸相が複雑に絡み合った状況がアメリカ社会の現在形なのである。

霜田亮祐アメリカ、郊外の果てにみえるもの

      • -

八月二十七日、
昼イボ。11箇所を焼き、医者に同情される。

  • -

ネットのニュースレターにてLEGOブロックで町を修復するプロジェクト。

Jan Vormannというドイツのアーティストが街中の人と一緒に街中の穴という穴にレゴをつめていくというもの。

      • -