ヒーリン・フィーリン烏丸今出川

九月三日、
朝。秋プロジェクトことGRLKYOTOでつくる基地用の場所下見。下見といってもわりと見慣れたところなので確認程度。その後GRLKブックリストの製作とQC用資料。

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比燕荘のどこかをどうにかして撮ったらこうなった。画像整理中
九月四日、
QC用資料調達のためK大図書館。コピーカードなんてものは久しぶりに買いました。

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夜ネットカフェ。ヒーリン・フィーリン烏丸今出川同志社の近く、松屋のとなりのビルの四階。店舗面積はあまり広くなく、コミックの数もそれほど多くありません。席の種類はすっきり三。カフェ席、オープン席、ボックス席。なおボックス席の大きさは幅1050×奥行き1850、エントランスの広さは大体500。この寸法、トイレに近い。カフェ席とオープン席の違いはパソコンが使えるか否かにあるが、ここの両席は窓際に設けられており、烏丸今出川の交差点が一望のもとにあるのでおすすめ。ただいかんせん無難としか言いようのないかんじ。烏丸店といえばこことコミックバスターが思い当たるが、どちらもコミックや個室空間での冒険はあたまにないようです。土地柄だろうか。だったら何だ。ハチワンダイバーを読む。

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九月六日、
製図ラスト。来週の日曜が本番。ひとまずGRLKブックリスト案を投げて滋賀行きの支度。

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九月七日、
滋賀。JR湖西線安曇川駅からバスを乗り継ぎ、軽トラックで迎えに来てもらう。迎えに来てもらったコンビニがギリギリ携帯の電波が届く最終ライン。椋川というところの田んぼ、というか元田んぼに床を貼りに行ったのです。高浜利也さんというアーティストの方の製作のお手伝い。高浜さんは建設業関係の出自ということもあって大工さんをされていたらしく、現在では建設とアートの境界線を歩いている。2006年の越後妻有では小出の家という民家改修のプロセスを作品として開示されています。曰く「三年前はまだ大工に近かった。」この発言。なお作品としてはこの床の上で、床を作るときにできたりした端材でもって子供たちに積み木遊びをしてもらい、できた家々を都市のように並べていくというインスタレーション。軽井沢、名古屋、椋川、タイ(じきに)、などなど、そのたびごとに積み木は増え、ここではないどこかたちの記憶が、いまここで生み出される記憶や投影へと関与していく。作品の名前は移動計画community on move。今日は床の水平を出す。

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九月八日、
立ち退きをせまられたことから、とりあえず場所はまだ見つかっていないけど、床だけはつくってみよう、というのが床をつくりはじめたきっかけだったそうです。その意味で床は高浜さんにとっての生活拠点。その生活拠点としての床の上では、自らではない誰かたちの記憶やその痕跡が次々と増えていくのだ。椋川二日目。APIというフェロー団体と生活を共にしている。アジア公的知識人でAPI。高浜さんはその一員。朝晩の食事はhanare、昼ご飯は椋川に住む若い夫婦の奥さん(まこさん)がつくってくれる。栄養価が高く、なにしろおいしい。食べても食べても腹がもういいといわないのであった。床貼りの作業は今日で終わる。夜は京大で東南アジアの農業について研究されている田中先生という方とお話をさせてもらいました。思ったより家が近いのでなんらかのかたちでお話を聞かせてもらう機会がセッティングできそう。

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九月九日、
埼玉から手伝いに来ている五十嵐君という作家でありキュレーターでもある彼と作業中よく話している。フットワーク軽やかな同世代。彼はちょうど一軒屋を友人たちと借りたところで、そこを改修してアトリエやギャラリーにしたいそうだ。一緒になんかやろう、と言ってくれる。椋川三日目。椋川には若い方が四人おり、そのうちの一人の中島さんが蔵を買おうか迷っているとのお話をしてくれました。写真を見せてもらうと、漆喰がところどころはがれ、屋根が落ちている。五年間管理者がおらず、雪も多いところなのでそれはつまり五年間分雪が屋根のうえにとどまっていたことになる。そうなると瓦の下の土層部分から水が浸透しているかもしれず、もしそうであるならばもう致命的なので、再考をすすめる。中島さんはなんでも自分でやってしまうDIY精神に溢れた人です。何になるかはまだ決めていないけど、とりあえず柱だけたててみた、という十二本の柱が羊小屋の近くに整列している。今日は貼り終えた床の上で積み木遊び。

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九月十日、
最終的には全ての積み木をつなげたいと高浜さん。それで家をつくりたい。バーチャルなインターネットをアナログで、物理的にやりたい。この「インターネット」というのはそのアイデアの構造的なあり方を比喩的に示しているように思います。近さと遠さとが結ばれて、それがくもの巣のように張り巡らされている。積み木の家はメディアだ。それぞれがメッセージを持っている。椋川四日目。椋川若い組の一人の方がそのうち小屋を作りたいとのこと。畑や田んぼの仕事を手伝いに来てもらったときに泊まれるようなところがいいとおっしゃっていました。時期はまだ決まっていないけど、また手伝いに来れたら嬉しい。hanareのSさんと「かかりつけの建築家」という存在の有効性を話し合う。夜11時すぎ、Yさんが到着し、帰京。高浜さんがわざわざ見送りに来てくださった。高浜さんとまた京都でワークショップを開催する予定。

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現場に届いた仮設トイレ。運んできてくれた人は、このでかいトイレを一人で運びますからといって、ほんとうに一人だけで設置して帰っていきました。