ふぁーめんは名古屋にある

九月二十六日、
名古屋。元繊維問屋街である長者町通り沿いにある本屋さんエビス・アート・ラボへ。ビルの4階。となりにはギャラリー。ストリートビューとサジという出版物を買う。前者は都市のフロッタージュを構成したアートワーク集、後者は料理で遊ぶというコンセプトの、封筒に入ったジン。フロッタージュにはめっぽう弱い。それから料理で遊ぶ、という言い方はどうにも印象が悪いけど、個人的にはありだと思う。別に投げあったりするわけじゃないし。その後栄の雑貨屋セアンを物色。ジンもあるけど好みにはあわず。それから友人と名古屋駅西側にある立ち飲み屋でごはん。三つ目がとおるの主題歌とプリキュアの主題歌はサビが同じメロディーだという話を聞く。作曲者が同じなのだと。

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九月二十七日、
半田。赤煉瓦の一般公開。JRと名鉄とが近くでウォーキングラリーを企画しており、この日がその当日だというので、そのような格好の方々が多い。年齢の平均はおそらく30〜40代くらいになるだろうが、それは中年が多いというよりも、若年層をまたいで下と上との差が大きいということだ。ウォーキングするとちょうどいい距離にある、うねる地形風の建物、新美南吉記念館付近では、彼岸花が見ごろだというので、さらに人が多い。ウォーキングムーヴメントは、若年層を飛び越えて今や一大ブームとなりつつあるのか。いや、あるのだ。

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午後からは、身内の友人がその手入れに参加されている半六邸へ。敷地900坪に建つこの数奇屋建物は、数回の増築を経て、いまや物理的に疲れを見せている。朽ちているといっても言い過ぎではない棟もある。出資者はおらず、所有者の理解も乏しい。それでもヴォランティアの人たちがいる。障子を張り替えたり、柱を拭いたり、なによりもそこに集まってくる人たちがいる。かつてはジャングルのように木々が茂っていた庭は、いまそれがジャングルではなく庭であると認識できるほどに整えられ、立派な蔵も備えている。蔵の鍵はとにかくでかい。秋口に見みる蚊の拡大率よりもでかい。これを更地にするのはあまりにも惜しい。基礎代わりの石敷きに使われている自然石の大きさだって惜しいというだろう。
数奇屋建物と先に言ったが、建具にはどこか別のところに使用されていたものに手を加え、再利用されたものもある。そもそも別の建物から拝借されたものもあるかもしれない。雨戸の代わりにビニールシートが取り付けられている部分さえある。調査団に入ってもらい、専門家に適切に直してもらえと言うはたやすいが、僕個人は構造に耐久性が残っている限り、そうすべきではないと考える。その再利用方法がいいと思う。それで十分ではないか、といま、なぜいえないのだろうか。10月31日、11月1日には一般公開。当日そこをギャラリーにして作品を展示される作家さんとお話をする。蔵から出てきた品々でフォトグラムをされるそうだ。楽しみ。

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厨房にはロボットが立ち、調理は彼らが行ってくれる。人間に残された仕事は、それを客に運搬する事だけだ。という便利で気味の悪い状況は質の悪いSFのまねごとではなく、実はすでに現実のものとされている、大須商店街第2アメ横ビル2階にあるふぁーめんというラーメン屋さんの話。ただし正確に言うと、ロボットが厨房に立っている、というよりも、ロボットのアームが二本、台から出ている。それから人間に残された仕事も、薬味をカットしたり、それを小皿に分けたり、餃子を作ったりと、案外まだ多い。ホールはちょっと暇そう。客は結構多い。店自体が暇になると二本のアームは漫才を始める。実はその演目はホールの人が決めているのだ、と踏んでいる。京都にもどる。

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九月二十八日、
朝、湯沸かし器の故障を見に業者がくる。

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昼、展覧会を前にして、事務所の大掃除。大掃除といっても本棚の整理やちょこまかとした対症療法であり、抜本的な解決策につながっているかは不明であるが、そもそもここの掃除に抜本的もなにもないなと思い至り、比較的よく整頓出来たので、満足な気分で15時に切り上げ、Tさんと共にハーブティー(出てきたやつ)をすする。愛知のお土産、納屋橋まんじゅうと共に。ゆーが。その後明日のGRLKYOTOイベント(アンデパンダンにて)の準備お手伝い。

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九月二十九日、
カフェアンデパンダンにてGRLKYOTOのプレイベント。即興で家具を作るという試みを手伝った。かっこよくしたら負けという謎の規則を自らのみに課し、事前にバラバラにした元家具たちを再構成していると、どんどん楽しくなってきた。別に規制をかけるまでもなくアンチクールなものがいろいろ出来てきたので満足だったけど、6時間ほど続けざまに家具らしきものを作っていたので体がだるく、片付ける際には雨まで降ってきたのでちょっとげんなりする。でも総じてゆる〜っとしているのに活気があって、音楽もごきげんだったし、楽しいイベントだった。100人くらい来てくれたらしい。

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九月二十九日、
そういえばこの日は朝に田中美穂植物店さんがhanareradに来てくれたので、13日のにわいじりワークショップのためのちょっとした打ち合わせなんかをした。アオキ残す、南天移動、竹部分的に残す、銭ゴケはがす、ちんちょうげ移動、ヤツデ残す、さつき残す、細かい赤い実がなってるのは、あれはみずひき、お茶のときにも使われたりするらしいよ、あ、そうなんだ的会話を多少。