フジヤマカフェリラクシング&めだかの学校

十二月六日、
リサーチメンバーの詰所だった京都芸術センターにてディスクローズなリサーチ結果プレゼンテーション。たくさんの人が見に来られ、会場は満員で、いつもの空間がまるで別物のようになった。開始予定時間を少しおしてプレゼン開始。京都芸術センターという場所がただの貸しスペースと化していないか、使用するアーティスト同士がもっと緊密につながるべきではないか、そのためのひとつの切り込みとして劇場計画を考えているという企画構成橋本さんの挑戦的な語りからスタート。実際プレゼンは昨日京都で計三グループによって行われている。その後は高山さんから個室都市東京の概要と成果。「あくまでこれは演劇」「演劇を都市へと挿入する」という言葉。高山さんは以前「やっぱりこれは演劇だと言わないといけないんだ」ということをもらしていた。「でも寺山ともちょっと違うんだ」という。返事ができない。「いや、これは演劇ではない」という人に対し、ではあなたにとっての演劇とはなにか、を問い返すというのが今回の戦略だった。ニュアンスをつかみきれない僕はというと、これまでリサーチチームが歩き回った京都市内のコースをGooglemapを使いながら説明するという役どころ。終わった後は最も近い観客として議論を見させてもらった。

四日分でこうなった
京都という都市のレイヤーの複層性、その複雑さを深いところでつかみ取るような姿勢は取らない、と高山さん。僕はあくまでもストレンジャーとしてこの都市の表層性にこだわります。キーワードとして挙がってきたのは「観光」で、それとして都市の表層をなぞりながら、一周して戻ってきたら実はなんだかおかしな所にいきついてしまっている、というような効果が出せたらいいと思います、という旨の発言。境界線をいかに引くのかという問題。個室都市という名前が当てはまらないのならば、そのときは名前を変える、とも高山さんは言っていた。とはいえこの言葉のニュアンスはかなりひろい。
質疑応答では案の定「これは演劇なのか」「演劇とはなにか」というラインで話が進むも、ところどころで脱線し、やや散逸したような印象。でもお世辞でもひいき目もなくヴィヴィッドな議論だった。具体的抽象的と多用なレベルで質疑が出されていた。とりあえずこれで一段落。再度高山さんが京都入りした際に再度リサーチメンバーとして参加することになるかもしれない。

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そうそう、実際リサーチ中にフジヤマカフェリラクシングへ行ったときのこと。しっかり計っていなかったのが悔やまれるのだが、ここには3人掛けシート、4人掛けシートというものがある。たいてい4人くらいのスケールになると席というよりは室になるのだが、ここではちゃんとシート化されている。1700×2600、1800×2800。2800くらいになると広さも圧倒的。天井が高いのでより一層広い。

ぼんぼり、このぼんぼりはそうとうでかい

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十二月八日
Sさんと卓球。プリンツで少し話して、キタバチにて卓球。自分の考える建築と澤崎さんの建築に対する想定のすれ違い。物理的建築と現象としての建築という対立、というわけではなく、建築という現象の象徴的な側面と実際的な側面との違い、というか微妙なずれ。卓球した後は夢を語れでラーメンを食べ、その後マックでコーヒーを飲みながら再度話す。

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十二月九日、
Hさんの新居に据える本棚の製作。シナランバーコア2枚を使った、600×1800程度の本棚。棚は二段で、間仕切りを内側に二枚、計六スペースを持つ本棚。間仕切りを据えない状態がとても端正で、もちろんそのままでは荷重に耐えられないのでよくはないが、いいなと思う。

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十二月十日、
QC2プレスリリース文の作成。多量の文章をA4一枚分に収め、それらを送る。各所ウェブサイトに送る。

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十二月十一日、
家庭の事情で愛知へ。十九日はRADのopenlab.企画で忘年プレゼンテーションということになっている。忘年しようにも何をしたのかしっかりと思い出せなかったから、それならばみんなでプレゼンしあったらどうかということを言い、そうすることになったのだった。そしてネットカフェ研究のとりあえずの成果を出してみてはという提案を受けたので、そうすることにした。構成を考える。

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ネットカフェ。愛知県半田市のめだかの学校というところ。他所では多く見られるのかもしれないが、ここの店舗は「学校」をコンセプトにしたネットカフェ。会員証も入校証になっているし、ギミックのところどころに学校のニュアンスがはいっているのだけど、思っているほどには一貫していない。フードメニューは給食だろうなと踏むもそうではなかった、だとか。平面は元リサイクルショップか何かだっただろうキレイな長方形で、その一角が室になっており「用務員室」という体になっている。下は畳が敷かれている。他所でいうところの「和ペアシート」くらいの感じだろう。一方でそのキレイな長方形に間仕切りが同一レベルで立ち上がっているため、高めの視点から見る景色は相当に端正。京都四条河原町のメディアカフェポパイ然り。
スケール。「用務員室」は幅1350×奥行き2650。リクライニング席は1150×2000、マッサージ席は1150×2600、ペア席になると1800×2000、ワード・エクセルペア席は1800×2100、それから面白かったのは、オンラインゲームをするための個室が準備されており、それが800×1500と、なんともトイレの個室スケールに近似していたということだった。三時間パック850円。ナイトパックは最大六時間と短め、ただ料金は1200円と安め。べしゃり暮らしを読む。

「用務員室」のドアのガラス越し

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十二月十二日、
愛知。午前中は半六邸のお別れ会にちょっとだけお手伝いにいく。市への売却がきまったそう。新聞発表もされたそう。売却価格は160000000円、一億六千万。敷地内のほぼ全ての建物が取り壊され、観光むけに改修がなされるのだと。ほぼ、というのはなかでも二つの建物が残るからであり、それが蔵と茶室なのだが、茶室に関しては敷地内の建物のなかで最も痛みがひどい部類に入る。保存、改修、観光地化という政治のなかで建物の記号性が露骨に現れているようで気持ちが悪い。

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午後は名古屋。友人の陶芸家Hさんも出展しているへうげものの関連展示会を松坂屋へ。催事場の一角。他の部分はお歳暮売り場になっており、そのパワーバランスにたじろいでしまった。デパートでの展示はなかなか大変そう。Hさんの出展作は不気味なはずなのになんとなくかわいくて、そのドロッとした不安定なところになんとも魅力を感じる。連絡すると近くにいるというので、松坂屋前のコメダコーヒーでコーヒーとケーキ。本当に近くにいたのだった。メンタル的にけんかっ早いところが面白い。

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その後京都。福島からSさんが来京されていたのだった。京都でインタビューされた人集まれ会。到着するなり飲む人、議論する人、騒ぐ子供、集まって話す奥様たち、ちょっと眠そうな人たち、インタビューする人、される人たち、その後寝ることになる人たち、帰る人たち、帰りそびれた人たち、帰らない人たちがごちゃっとひとところにいる。なお帰らない人たちは結局朝の六時まで帰らなかった。その後Kさんと二人でGRLブックをワンテーマ「ハッキング」で統一しようとすることの是非について話し合う。