技術と人間の哲学のために

技術と人間の哲学のために (人間選書)

技術と人間の哲学のために (人間選書)

技術史家(産業技術論者)中岡哲郎による所感集。引用は氏がメキシコを訪れたときのこと。織り糸は時代とともにいろいろと変わっているが、一方の織機はずっと変わってないという事実を目にし、「なぜもっと効率的なものをめざして変化しないのか」と問うたことに発している。

何故日本の農村手工業は変化しえたかだって?それは世界史の必然ではないか、現に変化はほぼ法則どおりに起こったではないかと、人々はいうだろう。だがそう考える時人びとは、現実をみているというより、現実をとらえようとする自分たちの支配的な意識を見ているにすぎないことに気づいていない。