TOKYO METABOLIZING
- 作者: 北山恒・塚本由晴・西沢立衛
- 出版社/メーカー: TOTO出版
- 発売日: 2010/07/25
- メディア: ペーパーバック
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第12回ヴィネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館公式カタログ。ここでテーマになっていることは、一言でいうと「都市(主に東京?)という生態系」である。
1960年に提出された都市が新陳代謝して更新されていくというメタボリズムの概念は、1つの敷地に1つずつ建築が建てられる、というこのシステムによって実現されている。
要するに都市は生体であり、その中で個別の建物は「平均して26年」という寿命を持つ細胞のような存在になる。メタボリズムはここにおいてすでに実現していたのだ! その生体の血液は資本であり、ここでの心臓は資本主義ということになるか。でも資本「主義」にはこれといった実態があるわけでなく、それと同じように、東京という生体にもこれといった核があるわけではない。ようは「日本の都市を構成するあらゆる建築は、資本ゲームの取り替え可能なコマ」なのだ。
「東京」という都市は、その都市のビジョンを決定する主体の存在は明確ではないが、これまでの都市が強大な公的権力や資本権力によって形成されたのに対して、生活を中心とした静かな都市要素の変化の集積によって壮大な都市の変化を創る可能性を示している。
先の比喩を続けると、ここで目指されているの(ことのひとつ)はおそらく、この都市という生体の中で「いい癌」をどうやって生み出していくか、ということだ。個別の生がまた別の生に影響を与えて、ついにはその整然とした細胞の並びを超えていくような。そういう意味での癌。
10+1 No.50 特集=Tokyo Metabolism 2010/50 Years After 1960
- 作者: 八束はじめ,豊川斎赫,菊地誠,中島直人,金子祐介,唯島友亮,レム・コールハース,上原雄史,今村創平,メディア・デザイン研究所
- 出版社/メーカー: INAXo
- 発売日: 2008/03/30
- メディア: 単行本
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ときに、この本の「発見」は「制度的な制約によって一定の生成が促進される」というアーキテクチャを持つ東京こそがメタボリックではないか、ということか。このロジックからは、グリッドこそが摩天楼を生み出したとするコールハースの『錯乱のニューヨーク』と、濱野『アーキテクチャの生態系』なんかが喚起された。上の10+1の特集はチェックしたいところ。