池田亮司「スペクトラ」

道を歩いているとあるエリアだけやけに虫が集まっていてぎょっとなる、あの集まっているところを虫柱というようだが、この光の塔も見事なまでに虫柱化していた。写真であまり見られないのが残念だが、光の中をうようよしてるキラキラした細かい粒はゴミではなくすべて虫。デカイ蝶らしきものの羽に反射した光は結構遠くからも見える。



64本の投光器のなかのひとつの発光源から上に向けて撮った写真


投光器、光の塔、ときたらピンと思い浮かぶシュペーアの二列が西洋的だとすると、8×8グリッドの池田さんは東洋的だな、などと思ったりした。東洋的光の塔にうしろの名古屋城もご満悦だったろうか。虫だらけでうっとおしかっただろうか。



名古屋城はやけにクッキリなライティング


ちょっと広くとられた周囲の道路には路駐車両がひしめいて、遠くから写真を撮ったりなにあれーきれいーみたいに人々がはしゃいだりしていた。マイルドに言わなければ軽い交通マヒである。もっとずっと近くから見える会場にもたくさんの人がいて、みんな楽しそうに写真を撮ったりしていた。


のだけど、そのなかで周りに響く通奏低音や細切れの音とともに、名古屋城と東洋的光の塔というコントラストがただならぬ感じでひっそりと浮かび上がる瞬間があった。「こっから見るとゾッとするねー」とカップル。ケータイ写真にかたなしの厳かさがそのときだけおさまらない何かを認識させているようだった。


とかブツブツいいながら、個人的お気に入り写真はこれ。



みんなの顔がひょこっとでております