オリビエ・ブーシュロンのこと

12月1日から一週間程radlabで紹介する仏人建築家オリビエ・ブーシュロン(Olivier Boucheron)が2008年にAJAPを受賞したときのテキスト。著者はラファエル・マグロウ(Rafael Magrou)という建築家、建築批評家。


本文はこちらです

  • -

neloboがどのように面白いのかに関してはこちらをどうぞ。

オリビエ・ブーシュロン曰く、環境への配慮は主として人の行いにかかっている。ゆえに彼は世界中で起こる仮設的で一時的な住環境の探究を、たとえそれが古くさいものであっても、選択するのだ。こうした観点から、彼はフランスやその他の地域で領域や経験を尊重するアプローチを取る。「Laboratoire Architecture Anthropologie(LA/A)」の社会学者クリステル・ロビンとの恊働、パリ・ラヴィレット国立高等建築学校での研究室における活動、そして社会科学に取り組むジャクリーヌ・アンクレットとの恊働などは「リサーチと場所とを調和させる」という彼の現在的な意思を強くする。彼の調査は1995年のハノイにはじまり、それ以降2000年には10ヶ月を学士取得のために当てている。以後パキスタンインドネシア、そしてモンゴルを訪れ、国際的な連携を目指す組織「Architecture et Developpement」との恊働を行う。海外でのこうしたコラボレーションや、不慣れな国での活動はミシェル・ド・セルトーの言う「今ここ」に基づく彼のアプローチを促進する。ビエンチャンバンコクへの渡航やそこでの逍遥、また都市研究プロジェクトの狭間で、ブーシュロンは忍耐と知性とを要求される、社会学的経済学的両側面にわたる地域との対話に向き合っている。


環境に意識的であるこの建築家は、ハノイでの活動であれナントでのそれであれ、すでにそこにあるものを明らかにしながら自らのプランを提示し、その反応を研究するというアプローチを一貫してとっている。プロジェクトを適切に遂行するためには何が必要なのかを理解することができるよう、そのプロセスは広範囲にわたる。曰く、「私は即時的な解決には興味がなく、ある生産が想定される以前の状況に時間をかけて向かい合いたい。」調査することはすなわち関与することであり、それはまた、生けるものと建てられたもの、そして快適な生活にとって望ましい状況が打ち立てられるためにすべきでないものとの間の密接した関係性を理解させてもくれる。写真(あるいは映像)がひとつのツールとして選ばれていることは自然なことであり、たとえそれらがなかなか目には認識されづらいものであれ、彼が行う介入の重要性を示してくれる。将来への開かれを導びくための独自の方法なのである。


オリビエ・ブーシュロン(1974年生)はパリ・ラヴィレット国立高等建築学校を卒業。2000年に「nelobo」を設立。