unsolicited architecture=research


プロジェクトとリサーチの関係、というこの前の話をしながら思ったこと。

もし最近の数十年における職業的な選択が、受動的なファシリテーターになるか、あるいはしばしば変わったことをするための特別な許可を持っている宮廷道化師になるかというものに貶められているのなら、おそらく機会は他の問いや期待へと向かわなくなっている。あなた自身にむかうのみだ。クライアント、敷地、あるいは可能な予算に求められるものとしてのデザインではなく、求められない建築をデザインし、そのためにクライアント、敷地、そして予算を見つける時がきているのだ。適切なキャリアや愉快な生活のために覚えておくこと。他者がつくったモチーフに頼らないこと。自分をモチベートするのだ。(Ole Bouman)


これはオレ・ボウマンが「unsolicited architecture」に寄せて書いた文章の一部である。「unsolicited」というのは「求められない」であるので、これはつまり「クライアントがあらかじめいない」であり「依頼が先にない」である。「アンビルドなのかな?」とも思うが、おそらく違う。「UA」のねらいは「建築的解決を必要とする機会や危機」の提示にある。だから「勝手にデザインしてそれを売り込む」ではない。そこにクライアントがいないのは、前にも言ったが、「それ」を主体的に依頼する人がいないからだ。


誰/どこが何を求め、そのためにはどこに介入すべきであり、その実践にはどれくらいのコストがかかるのか。「UA」を実践すると、こうした現実的条件を可視化することになる。こう言ってよければ、「求められない建築」の実践は、それ自体がリサーチとなる。以下はボウマンによる宣言文。

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  • 建築があなたのために「何を建てられるか」でなく「何ができるか」を問うこと
  • 「どこにいけばクライアントがいるのか」ではなく「どこであなたが必要とされるのか」を問うこと
  • 今まで誰も考えたことのない状況や機会を考えること
  • 単に与えられるものに反応するだけではない建築について考えること
  • ある課題に対して受動的でなく、積極的にそれを追っていくような建築について考えること
  • たとえクライアント、予算、あるいは特殊なロケーションがなくとも、決定的なコンセプトや力強いシナリオをもっていくことで、行き詰った対話や役割分担に対してアーキ=テクチャーが変化をもたらせるような瞬間について考えること
  • 戦略的知性、つまり発展的文化的コンセプト、思考様式、社会的介入への戦術、衝突を沈めるための戦-略、戦いを戦うための武器、世界の他の部分へのメタファーのためのメディウムとしての建築について考えること
  • 建設から自由な建築について考えること
  • さあ求められない建築を実践してみよう
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ボウマンが主催する「UA」のための組織は、かつて「Office for UA」で「OUA」だったが、今は「Studio for UA」で「SUA」になっている。
http://www.unsolicitedstudio.com/