The C-LAB case file on Broadcasting Architectureその3

その2より


そしてこの論考のねらいのくだりへ。前回ブロードキャストという言葉を説明するなかで「建てることのみならず建築が不特定多数の人に、いわば不可避的に伝わってしまう」ことがあると言った。建築が、建築家の意図に関わらず、引き受けざるを得ないこうした例として、「ゲーリー効果」を概観した。この論考は、その「意図との無関係に建築物のイメージが広まらざるを得ない」という事実と建築家がいかに折り合いを付けているのか、ということを語ろうとするものである。ここに出てきた個別具体的な論考はいまのところウェブサイト上では読めなさそうだけど、一種のイントロダクションになっている。

この論考は、いかに建築家やデザイナーが、その分野から広がるメディアへの露出と折り合いをつけているのかということを探究している。『Architecture Goes Public』デヴィッド・スターク(David Stark)やモニーク・ギラルド(Monique Girard)は、WTC跡地のための都市デザインプロセスにおける建築家のメディアパフォーマンスを記している。プレゼンテーション・ディレクターとしての建築家の役割は、社会的政治的デモンストレーションの現代的な形なのだ、と彼らは語る。ローラ・クーガン(Laura Kurgan)のWTC跡地のポスター地図は、今も昔も、発展していく現状に対する実践的で公的なガイドとして機能している。ケラー・イースターリング(Keller Easterling)は、建築領域内部での流通に関する観察を提示している。『Only the Many』において彼女は建築の国際的コミュニケーションチャンネルを、とりわけ若手の建築家によって発展させられたコラボレーションシステムを考慮に入れている。ジェニー・キム(Jeannie Kim)はC-LABのイントロダクション『Timeline of the Timeline』において、その領域の専門知識について、イメージ生産、すなわちイメージを通して歴史を解析したり説明しようとする、私たちの職業的スキルを描写している。最終的にこの二つの寄稿はハイブリッドな学術機関で行われた現在的ブロードキャスティングプロジェクトを提示する。フェリシティ・スコット(Felicity Scott)はエミリオ・アンバースの「Universitas」プロジェクトを研究する中で、手つかずの政治戦略を確認する。同類の「プロダクション・エージェンシー」Universitasは、1960年代後半、70年代前半の社会的メディアネットワークにおける「行動のための」戦略的ツールとしてデザインを促していくことである。ナダール・ヴォッソーイアン(Nadar Vossoughian)はブルース・マウ(Bruce Mau)に「消費、エコロジー、そして社会的領域」を架橋する集合的アジェンダへとデザインを採用する現在的な学術組織「Institute Without Boundaries【http://www.worldhouse.ca/】」についてインタビューしている。


その4へ