和歌山バグース


和歌浦にあるホテルの一階か地下部分にもぐりこむようにして寄生するDIY海の家。



いちばん右ですね


ぱっと目につく仮囲いは建設中のものじゃない。解体がストップしているのだ。この画面にあるほとんどの建物が廃墟。これについては、以前景観問題に揺れていた広島「鞆の浦」について少し書いたときにちょっとだけ触れていたのだった(これです)。昔から名勝地として有名なこの地に訪れた1950年代をピークとする観光ブーム。かげりが見えてきた60年代以降、てこ入れを試みるこの地がとった方向転換。その結果、万葉集にも謳われたほどの「景勝地」は失われ、レジャーを中心とした「観光地」へと変化した。この笑えないジョークみたいな話が鞆の浦でも繰り返されるかもわからんぞ、というようなことを書いていた。


ちなみにこの方向転換によって「阪神地方などから海水浴客を確保することには成功した」らしいが、観光の対象をつぶしてしまったので、観光客は当たり前のように減る。鞆の浦でも観光の対象を潰して観光バスの駐車場にしようという下手なアメリカンジョークみたいな計画ができていた。その後、国内温泉ブームがきても和歌浦には温泉が無いので白浜や勝浦へ流れて観光客はさらに減る。バブル期が来てもすでに観光地としての魅力を奪われている和歌浦は開発&投資の対象にならず、そのまま放置。



説明しづらいですが、店の奥は洞窟みたいになっていて、行き止まりにライブステージがあります。そのあたりからの一枚。


はやって廃れてのあとには、多くの廃業ホテル&旅館が残された。その痕跡が上の写真に写っている。皮肉なことだけど、廃墟ブームのときには「聖地」と呼ばれた。そしてそんな中でも地道にコツコツやっているホテルはある。それが写真一番右のホテルだ。そしてそんなホテルの一階なのか地下部分なのかに寄生しているのがバグースというお店。海水浴客も来るし、地元の人も来るし、ライブもできるのでそのためのお客さんも来る。いろいろあって、いろいろあったことがいやおうなくほのめかされているこの場所に、そんなこととはあんまり関係なく息づいている場所がある。


この下にはもう少し写真がありますよ。