リサーチ

タウンアーキテクト1

一時期メディアをちょっと賑わわせたもの(真相は分からず)の、現在その名前を挙げる人はいない、気にしてる人すらおそらくいない(と思う)「タウンアーキテクト」をいまさらながら二種類挙げてみたのが前回。今回は、先に挙げた二例のひとつ「地域のデザ…

タウンアーキテクト0

タウンアーキテクトについて。まずは「タウンアーキテクト」あるいはそれに準ずる名のもとに考えられるおおよそ二つのモデルについて少し考えてみたい。 - 地域のデザインディレクションを行う建築家 地域に根ざして活動する建築家 - 「1」はいわば制度化と…

volume#24「YES, BUT」を読んで

前半 後半 - 拙い訳にさぞやうんざりされたことかと思う(ごめんなさい)が、カウンターカルチャーをスタート地点にしたこの話は一貫して「what if」から「yes, but」という姿勢への変遷が語られていたのだった。言い換えると、「過去から断絶するモデル」へ…

Volume#24「YES, BUT」後半

前半はこちら - カウンターカルチャーにおけるドラッグの使用を論じた文章からなんでこんな話になったのか。そのときのポイントは、ドラッグの使用、つまり個人個人の内側へともぐりこんでいく内省の流行は、外側から押し付けられる規制(例えば、人を人とし…

Volume#24「YES, BUT」前半

前回「ニューロポリティックス」を参照にして二つの「共同体」を見た。「大地へ帰れ」運動のような共有ベースと、まさにその文章で語られていたドラッグの使用を通した内省ベース。この二つ。前回の話のポイントは、後者がある支配的ロジックへのカウンター…

Volume#24「Neuropolitics」ヤク

volume#24は「技術」「環境」(参照:Volume#24 Expanding Environmentalism)「コミュニティ」の三部に分かれていて、今回は「コミュニティ」部にまつわるC-Labによるテキスト「ニューロポリティックス」を読んでいる。READTANKで取り上げるのが先になりそ…

TOKYO METABOLIZING

トウキョウ・メタボライジング作者: 北山恒・塚本由晴・西沢立衛出版社/メーカー: TOTO出版発売日: 2010/07/25メディア: ペーパーバック クリック: 13回この商品を含むブログ (6件) を見る 第12回ヴィネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館公式カタログ。こ…

dezamについて

1930年から1933年、京大前建築科学生の中枢として存在した「デザム」という集団がいた。その中に西山夘三も浦辺鎮太郎(当時20歳前後)も名を連ねていた、ということで有名な集団だが、それ以上の情報はウェブ上ではなかなか見つけづらい。 「鉄のごとき共同…

Volume#24 Expanding Environmentalism

次回READTANKでその序文を読む(予定の)ヴォリューム24号「カウンターカルチャー」特集は三部に分かれていて、「技術」「環境」「コミュニティ」がそれぞれのテーマになっている。各部にはC-Labによる概説が掲載されており、「Expanding Environmentalism」…

WHY CAN'T WE BE FRIENDS?

「rep.05|YUASA RYOSUKE / nothing and something」はじまりました。10月11日までの会期で、昨日はrep.05のギャラリートーク。ギャラリートークしましたよ、という記事をRADのウェブに挙げた。そしてそのときちょっと思ったことを以下少し。 rep|ギャラリ…

ゴミ問題

ゴミ問題を考え始めるために。 森川嘉一朗「ルポルタージュ:取り壊された建築はどこへどのように廃棄されているのか」 平成7年度の警察白書によれば、不法処分された産業廃棄物の8割は建設廃材であり、検挙に至った「氷山の一角」だけで100万トンを超えて…

ストーリーテリング

こういう座談会を文字起こしした文章があって、それをふんふんと読み進め、最後のくだりでびっくりする。最後のくだりがこうだ。 都市・計画・評価の総合 : 環境工学と都市計画の接点を求めて (主集 環境科学としてみた都市のあり方) 途中ですが、ここで打ち…

Volume#20 Fact and Fiction後半の後半

建築にとって、なぜストーリーが重要なんだろうか、そしてなんでこの雑誌にローゼンさんのインタビューが載ったんだろうか、ということを少し。まずジェフリー・イナバ氏の序文(参照)から「ストーリー」って何かについて。 建築案の礎を築くがために、建築…

Volume#20 Fact and Fiction後半の前半

思いのほか長かった。 モンゴメリさんからの質問。プロ/アマジャーナリズムを比べてみんなどんなこと言ってるんだろう? 市民ジャーナリズムとの比較によってプロのジャーナリズムを語る支配的な議論とはどのようなものですか? そしてあなたの見解は? ロ…

Volume#20 Fact and Fiction前半

volume20号「ストーリーテリング特集」から報道批評家ジェイ・ローゼンインタビュー「事実と虚構」の訳。聞き手はジェフリー・イナバとタレン・モンゴメリ。8月27日にRADでREADTANKをするので、その準備です。ひとつのエントリには長過ぎるので、前半と後半…

団地を考えるとき考えること

ここでは、前回の田園都市の話からそれを元にした日本のニュータウンの話へと飛びます。ニュータウンと団地ってどう違うんだろうか、というちょっとした疑問から、ニュータウン(越しの田園都市)批判を少し紹介し、それに対する応答と、にも関わらず残らざ…

類推と建築

rep04 TAKASHI SUZUKI / BAUを事後的に振り返ってどう思ったかという文章をRADのウェブサイトに挙げた。 rep|「TAKASHI SUZUKI / BAU」afternote この作品では、建物に見えるスポンジが写っているということがポイントではなく、それがモノとなっていること…

解体工学とまちづくり

ここのところ技術の話をいくつか引用してきたので、今回はそれからちょっと展開して解体工学とまちづくりの話へ。唐突だけど、まず黒川紀章の「解体工学の思想―建築におけるエコ・システム」という論文(pdfで読める)から引用。なおこの文章は、建築物の解…

山本学治と造形

ここ二回ほど山本学治さんの論を少し参照にしてきたけれど、氏がどのような人であるのかヒントもないまましれっと引用してしまったので、ここで少し紹介します。 創造するこころ―山本学治建築論集〈3〉 (SD選書)作者: 山本学治,茂木計一郎,稲葉武司,中村精二…

木とコンクリートのはなし2

この前少し書いた大阪城RC造化の古川氏と薬師寺改修の西岡氏との素材に対する異なった見方とは何かということ。それは、当たり前のことだけど、素材の可能性を引き出そうとしているかどうか、ということだ。 造型と構造と―山本学治建築論集〈2〉 (SD選書)作…

木とコンクリートのはなし1

長くなりそうなので(引用が長い)分けて書きます。まず最近気になったこのニュース。今回の話は主に1】。 asahi.com:大阪城 「最先端」のコンクリート製 SankeiBiz:大阪城を歴史テーマパークに 大商が提言 ときに大阪城がRCで再建されたのは昭和6年(1931…

パチンコと公共事業

少なくない数の人がひとところにあつまり、長期的に、絶妙な手首の力加減で淡々と玉を穴に入れ続けるという作業が全国津々浦々で行われており、その出玉によって得られるお金の額が変わる。パチンコだ。そしてこのパチンコと公共事業は結構似ている。パチン…

建築とアート

保坂健二朗さんがキュレーションを担当された「建築はどこにあるの?」展のカタログに収録されている南後由和さんによる「建築物とインスタレーションの離接運動」という興味深い論考を受けて。 カタログ情報はこちら http://www.momat.go.jp/Honkan/where_i…

READTANK Volume#14 unsolicited architectureレジメ2

前回の続き。今回はエージェン・オースターマン「A profession apart」を参考に、なぜ「求められない建築」つまり「迷惑建築」すなわち「unsolicited architecture」が提示されるのか。 - Q:unsolicited architectureはどのような背景で提示されたのか? - …

READTANK Volume#14 unsolicited architectureレジメ1

「建設から自由な建築」のためにオレ・ボウマンOle Bowmanらが立ち上げた「Office for Unsolicited Architecture(OUA)」によって提案され、Volume14号で集中的に紹介されている「unsolicited architecture」という概念がある。直訳すると「求められていな…

「半六邸の利活用を考える会」との意見交換会

クローズな会議の議事録からポイントを抜き出した。一般公開なのだけど、取得には結構手間がかかるようだ。 半六邸についてはこちら - 前提 - 半六邸所有者から半田市は半六邸を取得したよ この対話は現状こうなってますよ、という報告会だよ この対話で何か…

新しい西部、古い想像力

仮想空間「詐欺」のニュース*1 埼玉県警が、インターネット上の仮想空間をめぐる連鎖販売取引(マルチ商法)で虚偽の説明をし会員を募った疑いがあるとして、現在3D仮想空間「X-I World」(旧エクシングワールド)を運営する株式会社ビズインターナショナル…

夢のマイホーム

「夢」と「神話」のマイホーム。 ゴミ投資家のための人生設計入門、を読む。人生の八割は土台。人が自由にできるのは、その上の二割だけで、この本はその二割にはとんと興味がない。人生の八割の土台の、とりわけ経済的な部分、それも不動産と保険という重要…

事業仕分けのはなし

一定の人々のは当たり前のことを書く。まず前提。事業仕分けは事業の評価ではなく、事業に使われるお金が正しく使われているのかをはかるもの、らしい。「事業仕分け」の力 (集英社新書)作者: 枝野幸男出版社/メーカー: 集英社発売日: 2010/04/16メディア: …

まちツイ

このときに書いたことを思いながら夢を語る。 この「まちツイ」は、ある人がフォローしていたりフォローされている人の全国分布が見えたり、都道府県市町村ごとにどんなユーザーがいるのかがわかる。そしてわかるだけでなく、そのランキングがわかるというも…